いま旬なひとたち

Special Interview
女優:安藤サクラ

女優:安藤サクラ

夫婦2人が初めてケンカするシーンは
台本を読んでおもわず共感しちゃいました!

本年度のカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した映画『万引き家族』で鮮烈な印象を残し、海外でも高い評価を得つつある女優の安藤サクラさん。彼女がヒロインをつとめる、NHK連続テレビ小説『まんぷく』が10月1日からスタートします。プライベートでは昨年6月に女の子を出産し「連続テレビ史上初、子育て中のヒロイン」としても注目を集める彼女が『まんぷく』というドラマに寄せる思いを聞きました。 

女優:安藤サクラ
連続テレビ小説はこれまでに何度もオーディションを受けるなど、憧れの存在だったそうですね。
やっぱりNHK連続テレビ小説って日本のすみずみまで届けられている作品なので、テレビドラマとか映画とか舞台とかいろんなジャンルのお芝居があるなかでも、ひとつのジャンルになってるぐらい特別なものだと私は思っていて。これまでにも映画の撮影で山奥に行って地元の方にお世話になる機会が多かったんですが、その映画がなかなかそこには届かないことも少なくなくて。いつか朝ドラに出たら恩返しができるかな…と思っていたので、夢が叶ってうれしいですね。
今回オファーが来て出演を決められるまでには、出産直後ということもあって、かなり迷われたと伺いましたが…。
私は子どもを産んだら子育てに専念しなきゃいけないと思ってたんです。なので、お話をいただいた時も、このタイミングでできるわけがないって悔しかったんですね。自分のなかでやるという可能性はゼロだったんですけど、子どもを育てるなかでそれをネガティブな出来事にはしたくなくて。「この子がいなかったらやってた」とか考えるのは絶対嫌だし、でもやっぱり悔しくて、すごく悩みましたね…。
でも、そんな私に対して夫(俳優の柄本佑)も義父(俳優の柄本明)もうちの父(俳優の奥田瑛二)も、なんでそんな一大事みたいな顔してんの? やればいいじゃん?って感じで、その軽さに逆に背中を押された。なかでも義母(女優の角替和枝)の「これをやらないんだったら事務所も仕事もやめちゃいな」という言葉には、強く背中を押されました。
安藤さんの出演にあたって、NHKでは働き方改革の一貫として大阪放送局内にキッズスペースが開設されるなどのサポートが生まれたそうですね。
本当にスタッフや役者さん、受付のお姉さんから掃除のおばちゃんまで、みんなが思いやりをもって接してくださっているので、私も娘も人生のなかで本当に特別な時間をいただいていて。もちろん大変な時間もあるけど、みんなで手を繋いで冒険している感じで、その時間が愛おしすぎて、一分一秒でもこの時間を体中で味わわなきゃと思いながら撮影しています。
今回演じられる“福ちゃん”こと今井福子は生来の楽天家で、後にインスタントラーメンを発明する夫に振り回されながらも、やがて夫を引っ張ってゆく強い女性へと成長していきます。ご自身と“福ちゃん”の共通点はありますか?
福ちゃんはとにかく前向きで貧乏とか本来マイナスなこともハッピーなものに変換してゆく力のある女性。私もできているかどうかはわかりませんが、常に同じ時間を過ごすならよりよい時間にしたいと思って生きているので、福ちゃんを演じることでそういう力を共有できたらいいなと思ってます。
共演者の方とはどのように過ごされていますか?
撮影の初日は今井家のシーンから始まったんですが、お母さん役の松坂慶子さんもお姉ちゃん役の内田有紀さんも松下奈緒さんも、皆さん両手を広げてくださってたような印象で。もちろん緊張感はあったんですが、変なものを背負わずに現場に入れました。今井家の女4人のバランスがとっても私は好きで、本当に居心地がいいですね。
萬平さん役の長谷川博己さんはいかがですか? 
毎回想像とはまったく違うようなお芝居が返ってくるので本当におもしろくて。スタジオの外で素の長谷川さんを見ると、こんなに色っぽいイケメンなんだ!って、そのギャップにいつもびっくりします(笑)。長谷川さんの萬平さんはまっすぐでお茶目で、長谷川さんでないと成立しない、見ているだけでニコニコしちゃうような可愛らしい男性ですね。
『まんぷく』はヒロインの成長物語であり夫婦愛の物語でもあります。萬平さんは旦那さんに重なる部分がありますか? 
2人とも不器用でトンチンカンなところがあるんですが、凸凹しながらもうまく寄り添って、2人で前に進んでいってる感じが微笑ましくって素敵だなと思いますね。うちの夫もこだわりが強くて自分の好きなことに没頭するタイプなので、そういう部分は似ているかもしれません。萬平さんのがむしゃらさの中にある不器用さと優しさみたいなのもわかるし、2人が初めてケンカするシーンは台本を読んでおもわず共感しちゃいました(笑)。
『まんぷく』は大阪が舞台で大阪放送局で撮影中とのことですが、大阪の印象を教えていただけますか。
すごく住み心地がいいですね。みんな壁がないし、すぐ手を差し伸べてくださるんですね。先日も子供を抱っこしてたら雨が振ってきて、傘がなかったので屋根のあるとこまで走ってたら、知らない方が「これ使いな!」って傘を差し出してくださって。スーパーとかお店でも皆さん、あたたかく接していただいて、いいなあって。やっぱり東京とはエネルギーとか人との距離感が違うし、福ちゃんという大阪の女の子を演じるうえでも、とてもありがたい環境です。
連続テレビ小説『まんぷく』
連続テレビ小説『まんぷく』
舞台は戦前の大阪。3人姉妹の末っ子で、貧しいながらも愛情をいっぱい受けておおらかに育ったヒロイン・福子(安藤サクラ)。父を早くに亡くし、家計を支えようと女学校を卒業後、ホテルの電話交換手として働く日々を送る福子の楽しみは、長女・咲(内田有紀)の結婚。宝飾店で働き女学校を出してくれた咲に恩返しをしたいと、結婚式を華やかに祝う演出を考えていた福子。そんな時に出会ったのが、後に夫となる発明家・萬平(長谷川博己)だった。萬平は幻灯機、フードプロセッサー、飲料水製造機、製塩、栄養食品、金融など、次から次へと事業を手がけ、成功したかと思えば失敗の繰り返し。まさかこんな浮き沈みの激しい生活が待っていようとは・・・。そして、ついに夫婦は「インスタントラーメン」を創り出す。それは世界の食文化に革命を起こす大発明だった!

放送:2018年10月1日(月)〜2019年3月30日(土)

出演:安藤サクラ、長谷川博己、内田有紀、松下奈緒、要潤、大谷亮平/桐谷健太、瀬戸康史、片岡愛之助、橋爪功、松坂慶子、ほか

URL:https://www.nhk.or.jp/mampuku/