
2021年も、京都はニュースがいっぱい。
新スポットが続々オープンしているエリアでは
今までにない過ごし方を楽しめます。
新しい美術館にモダニズム建築、カジュアルなお茶会などを体験、
季節のスイーツやハーブティーで癒やされて。
京都市京セラ美術館
現存する日本最古の公立美術館建築を誇る「京都市美術館」が、通称を「京都市京セラ美術館」としてリニューアルオープン。洋風の建物に和風の屋根をのせた「帝冠様式」と呼ばれる意匠を最大限に保存しつつ地下部分を掘り下げ、メインエントランスとして機能する軽やかな「ガラス・リボン」を新設するなど、大胆なリノベーションにも注目したい。エントランスから天井の高い中央ホール、日本庭園など多くのエリアがチケットフリーで見学可能。コレクションルームや企画展だけでなく、建物自体も楽しめる広く開かれた美術館になっている。新館の東山キューブでは、4月11日まで、美術評論家の椹木野衣を企画監修に迎えて『平成美術:うたかたと瓦礫(デブリ)1989-2019』を開催中。
屋上の東山キューブテラスも見学自由。本館の屋根付近の装飾が間近で見られるほか、東山の悠々とした景色が楽しめる
旧大陳列室を改修した中央ホールは、各室を結ぶハブ的役割も果たす
メインエントランスから1階に出ると、中央ホールを抜けた先に日本庭園がうかがえる
Lignum(リグナム)
自家製パンが自慢のベーカリーカフェ。パティスリーやレストランで研鑽を積んだ佐野力也さんが提供するのは、ちょっと非日常を感じるメニュー。たとえばチーズトーストならカマンベールとチェダーを切り分け丁寧に並べたり、オープンサンドなら仕上げにマーシュをたっぷりとあしらったりと、目でもおいしいひと皿にうっとり。焼きたてパンからフルーツサンド、パフェやメインが選べるランチと、メニューも豊富。琵琶湖疎水のほとりの気持ちのいい空間で、思い思いの時間を過ごして。
京都市営地下鉄東山駅から徒歩5分にあるベーカリーカフェ「リグナム」
季節のフルーツサンド1000円※フルーツは季節によって変わります
ランチタイム提供メニューのひとつ、海老とアボカドのオープンサンド1250円
国立京都国際会館
通常、入館できるのは催事参加者のみで、京都にいてもなかなか立ち入れないモダニズム建築の傑作「国立京都国際会館」。丹下健三に師事した大谷幸夫が設計したここは、1966年に誕生した国際会議場。一般の人が入れるのは予約制の見学会「建築の日」に限られていたけれど、2020年10月から気軽に利用できる「ICC Kyoto Open Day」がスタート。「前田珈琲」が運営する「NIWA cafe」が新たにオープンし、Open Day開催日にはロビーラウンジや庭園を自由に見学できるように。インテリアデザインを担当した剣持勇による近未来的デザインは、ハッとするほど新鮮だから、ラウンジの椅子やアートワークをじっくりと見て楽しみたい。
一般客が利用できる「ICC Kyoto Open Day」は、「建築の日」「NIWA cafeの日」「ワーケーションの日」の3種類。予約制の「建築の日」はガイドが案内する見学会ツアーがあり参加無料。「NIWA cafeの日」「ワーケーションの日」は予約なしで入館可能だ。日程は公式サイトで確認を。
石井幹子による照明デザインは折り紙をイメージさせる
宝ヶ池の自然、山並みになじむように、台形・逆台形をモチーフに設計
メインホールは、1カ国4席で構成される国連方式にのっとった会議場。会議場の公開は「建築の日」の見学会のみ
maka(マカ)
植物の香りの力に魅せられ、京都を拠点にカウンセリングによる調香とハーブティーを軸に活動するかしだゆきえさんのお店。ハーブを育てる庭があるコミュニティスペース「花辺」に移転オープンし、ハーブティーの量り売り、香りにまつわる雑貨を販売する。
「香りが良くて、きれいで、おいしい。しんどいものって続かないけれど、心地良ければ習慣にできるんですよね」。ストレスでいっぱいだったとき、植物の香りに助けられた経験から、ハーブティーのブレンドや調香を軸に活動するかしだゆきえさん。植物の香りには人を癒やす力がある。とはいえ、だれかにとっては癒やしでも、それが刺激になる人も。「たとえばパクチー。いろんな香り成分を含んでいるからオレンジを感じる人もいれば、不快に思う人も。好きな香りも体調も人それぞれ、みんなが同じではない。自分が心地良いものは何か、自分を知ることから始めてみてください」と話す。
調香セッションは、水・土・日曜に予約制で開催。好みや気になる症状など、カウンターで相談しながら自分に合うハーブと出合って。
2017年に「マカ」をオープンした店主のかしだゆきえさん
ハーブを育てるお庭をもつコミュニティスペース「花辺」に移転オープン
❶morning
すっきりと動き出せるように脳の働きを活性化するローズマリーやレモンバームをブレンド。20g 648円
❷moisturizing relax blend
冷えやすい人には、ジンジャーやブラックマロウをブレンドし、体のなかから潤し、心身を緩めて温めるお茶を。20g 864円
❶harmonia
気持ちを整えるジャスミンやリンデンをブレンド。花のように香る美しい午後をイメージ。ティーバッグ(2g×6個)864円
❷trip/green
気分のリセットにぴったりな清々しいミント系。ペパーミントやスペアミント、エルダーフラワーでしゃきっと。ティーバッグ(2g×5個)432円
❶daily brown
飲みやすくミネラル豊富なルイボスティーをベースにビワの葉やマリーゴールドをブレンド。食中や食後に。20g 648円
❷night lavender
ラベンダー、レモンバーム、ローズヒップなどで気持ちを落ち着かせて、心地良い眠りに誘う。利尿作用も。20g 648円
茶室/茶藝室 池半
町家で宿を営む亭主・小嶋万太郎さんが「お茶でもてなす場が作れたら」と鴨川に面する1棟を茶室と茶藝室に。おすすめは日本のお茶3種と茶菓子が楽しめる茶席コース。「中国茶は1煎ごとの変化を楽しみ、日本茶は1煎目に旨みを凝縮しますが、古くからの茶農家を巡るなかで、日本にも2煎目、3煎目をおいしく味わう文化があったと知りました。だから無農薬で育てた日本のお茶を、煎を重ねてゆっくり楽しんでいただくことにしました」と小嶋さん。移りゆく味と香りに心躍るひとときが過ごせる。茶席コース1名4000円(1回1組1〜4名)、品種や茶菓はそのときおすすめのもので提供される。コースのほか、喫茶もあり。
1 煎茶
この日は宇治田原湯屋谷の茶農家「城州ゆたに山口製茶処」の在来種の煎茶。「湯屋谷は永谷宗円によって煎茶が誕生した所なんです」。在来品種はまさに始まりのお茶。ルーツを感じる趣向。煎茶と相性の良い、あんバター最中を合わせて。
2 烏龍茶
日本で作る烏龍茶は緑茶に近い味わい。「今回は、霧の立ちこめる産地で作られた在来種。もともと自生していた茶樹のため、場所によりまったく味が異なるのがおもしろい。いろいろ試してもらえたら」。ユズの搾り汁で和えた、柿とユズでさっぱりと口直し。
3 紅茶
茶農家さんを訪ねるなかで出合えた、5年ものの熟成紅茶。「台湾のものに近い滋味を感じる、私たちのお気に入りです」。最後のお茶は2煎目以降はお客自身で淹れてもらい、「自分のペースでゆっくり楽しんでいただきます」。
菓子屋のな
みずみずしい草花の間でつやっと光る、焦がしキャラメルあんの餡玉(=アントニオ)とマンゴートロピカルあんの飴玉(=ララ)。ふたつのお菓子は、アンデルセンの小説『即興詩人』をオマージュして作られた。華やかな洋酒の香りとキャラメルのほろ苦さで運命に翻弄されるアントニオを、アントニオとの出会いが世界を変える盲目の少女ララは、パッションフルーツなど目の覚めるような甘酸っぱさで表現。「アントニオとララ」は、「インスピレーションは暦や文学から」という和菓子職人・名主川千恵さんのセンスが光る代表作だ。唯一無二な味の表現力で想像をかきたて、物語の世界へと引き込む魅惑の一品。このほか季節の上生菓子を販売(現在はテイクアウトのみ)。
和菓子職人・名主川千恵と夫・高行さんご夫婦が営む小さな菓子屋
アンデルセンの小説をオマージュして作られた「アントニオとララ」900円
なし