由緒ある寺院や山岳地帯の大自然など、魅力たっぷりなタイ第二の都市・チェンマイ。年間を通して多くの旅行者が訪れるが、秋にはある絶景を目当てにやってくる人々でさらなる賑わいをみせるという。
彼らのお目当ては、毎年11月中旬に行われる仏教徒の祭典、イ―ペン・サンサーイ。仏陀への敬意を表す儀式として、セレモニーや読経、瞑想などが行われるのだが、見どころはやはりクライマックスの熱気球を用いた儀式。仏陀への感謝の気持ちと日々の生活の幸福を祈って、コームローイと呼ばれる熱気球を一斉に放つのだ。何万もの熱気球が夜空を埋め尽くす光景は息をのむ美しさ。ひとつひとつのコームローイに人々の願いが込められていると思うとなお幻想的だ。
祭典は現地人向けのイ―ペン・サンサーイと、外国人観光客向けに同内容で開催されるイーペン・ランナー・インターナショナルの二種類で、日本からツアーもあって参加しやすいのは後者。また、同じ時期には山車のパレードなども開催されるので、チェンマイの街の賑やかな雰囲気を楽しむことができる。人々の想いを乗せて夜空へと舞い上がるコームローイは、秋のチェンマイならではの楽しみだ。
首都・バンコクから北へ約720㎞。かつてこの地で栄えたランナー王朝の首都であったチェンマイには、今なお当時の面影を残す美しい町並みが広がっている。
そんなチェンマイを旅するなら、必ず訪れたいのがランナー王朝時代に築かれた壮麗な寺院の数々。チェンマイには120にも及ぶ寺院があり、タイ有数の信仰場として国内からも多くの参拝者が訪れる。ちなみに、国民の9割が厳格な仏教徒であるタイでは、男子ならば一生に一度は出家をして修 行をするのが通例。黄色の法衣をまとった僧侶たちの姿は、チェンマイでは見慣れた光景だ。
郊外に広がる緑豊かな山岳地帯もこの地域の魅力のひとつ。ドイ・インタノン国立公園をはじめとするトレッキングエリアでは、雄大な自然の中を歩くエコツアーやゾウ乗り体験が楽しめる。また、独自の文化や言語を守りながら生活する山岳民族の村を訪ねるツアーも人気だ。
寺院巡りと山岳地帯の大自然を満喫したあとは、チェンマイの人々の生活を肌で感じるマーケットへくり出してみては。タイには屋台文化が根付いており、生活雑貨の調達から毎日の食事まで、屋台でまかなう人が多いのだとか。刺繍製品やタイシルク、銀製品や陶磁器など、北部地方を代表する伝統工芸品を地元価格で買うことができるのも魅力的。活気溢れるマーケットを練り歩き、現地の人々のリアルな生活に触れてみるのも旅の醍醐味である。
タイの食卓に欠かせないハーブだが、その魅力はハーブが持つ独特の風味だけではない。タイでは古来より伝統医学として用いられており、病気予防や美肌にも効果的なのだ。とくに注目なのは抗がん作用で、ハーブを多く摂取するタイ人は消化器官系のがん発症率が極めて低いという研究結果もあるほど。
タイ北部で700年以上前から作られている青磁器、セラドン焼。翡翠のようなグリーンと細かく入ったひびの模様が美しい。シンプルで素朴な風合いなので、エスニック料理だけでなく、和食や洋食の食卓にもしっくり馴染むのも良い。工房が多く集まるサンカムペーン地区まで足をのばせば、職人の制作過程を見学することも可能。
タイ料理といえばトムヤムクンやパッタイがポピュラーだが、それらは主に中部地方で発展したもの。ラオスやミャンマーとの国境が近い北部では、周辺国の影響を受けた料理が多く、日本人好みなマイルドな味付けが特徴だ。そんなラムテーテー(チェンマイの方言で“とてもおいしい”)な料理を味わうのも、チェンマイでの楽しみのひとつ。
タイ料理といえばトムヤムクンやパッタイがポピュラーだが、それらは主に中部地方で発展したもの。ラオスやミャンマーとの国境が近い北部では、周辺国の影響を受けた料理が多く、日本人好みなマイルドな味付けが特徴だ。そんなラムテーテー(チェンマイの方言で“とてもおいしい”)な料理を味わうのも、チェンマイでの楽しみのひとつ。
タイ北部には21もの山岳民族が暮らしており、彼らが手作りする刺繍小物は日本でも人気の工芸品。カラフルな模様の数々は「エスニック柄」とひとくくりにされがちだが、実は各民族独自の文様があったり、民族の歴史を表現していたりと、知れば知る程おもしろい。伝統的な柄を受け継ぎながら、現代のファッションに合うようにアレンジされた小物が人気だ。