カナダ西部に位置し、雄大なカナディアンロッキーを有するアルバータ州。夏にはトレッキングやキャンプ、冬にはスキーやオーロラ観賞など、大自然を活かしたさまざまなアクティビティが楽しめるカナダ有数の観光地だ。冬場は平均気温がマイナス25℃を下回るほど寒さの厳しい地域だが、そんな冬のアルバータでしか見ることができない、ある絶景に注目が集まっている。
旅の目的地は、カナディアンロッキーのふもと、ジャスパー国立公園付近にあるアブラハム湖。ダムを建設するために作られたこの人口湖をわざわざ冬の時期に訪れる人たちのお目当ては、「アイスバブル」と呼ばれる神秘的な景色だ。青く凍りついた湖面に白い氷の泡が何層にも重なる不思議な現象で、湖底に生息する植物が発するメタンガスが湖の凍結によって氷の中に閉じ込められることによって起こるのだそう。湖のいたるところに凍てついた気泡が浮かびあがるその光景は、自然が生み出した現代アートさながら。その時々の気温や気象条件によってさまざまな形状に凍るので、ひとつとして同じ形のものはなく、表情豊かなのもおもしろい。氷点下の澄みきった空気の中、寒さも忘れていつまでも眺めていられそうだ。
広大で起伏に富んだ土地、美しい自然景観に溢れたカナダのアルバータ州。西部の州境にはカナディアンロッキーがそびえたち、南東部には恐竜の化石が数多く見つかるというカナディアン・バッドランドが広がる。北部へ足を運べば、オーロラを観賞することもでき、南部に広がる牧草地では、カウボーイたちが牛を追いかける光景に出会える。そんな非日常の風景があたりまえのように広がっている。
世界中から訪れる観光客も、雄大な自然の風景やアクティビティを目当てにやってくる人がほとんどだ。とくに冬場に人気なのは、カナディアンロッキーでのスキーとスノーボード。スキーに最適なさらっと乾いた雪をパウダースノーと呼ぶが、そのさらに上の雪質、シャンパン・パウダースノーと呼ばれる雪が積もるアルバータは、スキーヤーたちの憧れの場所なのだ。また、滑走中にコヨーテなどの野生動物に遭遇する、というようなこともアルバータならではだ。
もちろん、スキーのほかにもさまざまなアクティビティが楽しめ、最近は、険しい岩山や氷河を登るアイスクライミング、雪の上を浮かぶように走るファットバイクが人気を集めている。自然の壮大さを肌で感じることができるアクティビティが多く、まさに「自然と遊ぶ」という言葉がぴったりの環境だ。
そんな自然豊かなアルバータだが、実はカナダ有数の商業地域でもあり、平均所得の高さはカナダ一。州最大都市のカルガリーは、カナディアンロッキーから車でわずか1時間の距離ながら、高層ビルが立ち並ぶ大都市だ。都市と大自然がごく近い距離で共存しており、そんな町づくりの取り組みは、国外からも注目を集めている。たとえば、州内の国立公園は観光地として整備されているが、人工物は最小限に抑え、自然とそこに住む動物が最優先。また、学校教育でも自然の大切さを実践的に学ぶ授業が多く組まれ、幼いころから自然と共に生きるという感覚が根付いている。カナディアンロッキーの風光明媚な景色は、地域の人々の想いによって守られている。そんな取り組みにも目を向けながら旅をすれば、自然が生み出す雄大な景色もより一層美しく見えるはず。
100万人以上の人口を誇るアルバータ州最大の都市、カルガリー。
アルバータ料理といえば、世界的にも有名な銘柄牛・アルバータビーフのステーキ。赤身のうまみが強いのが特徴。
アルバータ料理といえば、世界的にも有名な銘柄牛・アルバータビーフのステーキ。赤身のうまみが強いのが特徴。
カルガリーはカウボーイの町としても知られ、ウェスタンブーツやベルトのバックルなど、さまざまなカウボーイグッズがお土産に人気。
1.世界遺産にも登録されているバンフ国立公園。夏場は、ハイキングや乗馬を楽しむ人々で賑わう。
2.都会からすぐの自然地域に約600種の野生動物が生息している。ビッグホーンなど、日本ではお目にかかれない動物に出会えることも。