フィリピン共和国(通称フィリピン)のボホール島に、チョコレート・ヒルズと呼ばれる不思議な土地がある。高さ30~40mの円錐形、草に覆われた石灰岩の丘が1000個以上も並ぶ独特の景観が見もので、この景色を目当てに島を訪れる人も多い。チョコレート・ヒルズという名前の由来は、4~6月の乾季に丘の緑が枯れて茶色に変わることから。丘が地平線の果てまで続く光景は、島内の展望台とアドベンチャーパークから見ることができる。
この不思議な地形の形成過程についてはまだ解明されていない部分も多いそうだが、島にはこんな伝説がある。ふたりの巨人が島で喧嘩をして石を投げあっていたが、疲れ果てて仲直り。巨人は島をあとにして、巨大な石だけがこの場所に残されたというものだ。そんな巨人の喧嘩を想像しながら眺めると、幻想的な風景がよりおもしろく見えそうだ。
7000以上の群島から構成されるフィリピンの中で10番目に大きな島、ボホール島。リゾート地として日本でも人気が高いセブ島の南東に位置し、近年はチョコレート・ヒルズを目玉とした日帰りツアーがセブ島から多数運行されている。首都マニラからも飛行機で1時間程度だ。島は美しいビーチやダイビングスポット、密林を流れる川など豊かな自然に恵まれ、アクティビティの楽しみが豊富。また、世界最小のメガネザルで絶滅危惧種に指定されているターシャに出合える保護区もあり、日帰りでは物足りないぐらい見どころは多い。
フィリピンは、1565年から300年以上にわたってスペインの支配下に置かれた歴史があり、ボホール島にも統治時代の文化が色濃く残っている。バクラヨン教会もその一つで、植民地化を進める中でキリスト教布教のために築かれた。熱心な布教活動もあり、いまではフィリピン国民の約9割がキリスト教徒だ。その後、アメリカによる統治が50年近く続き、また中国との貿易が盛んであったこともあり、食文化はスペイン、アメリカ、中国の影響を強く受けている。さらに中国人やスペイン人との混血も進み、民族グループは100以上。多種多様な文化と価値観が共存する国といえる。ボホール島に暮らす人々の明るい笑顔と旅行客をあたたかく迎え入れる空気感からも、多様な文化を受容してきたフィリピンの歴史が感じられる。
ボホール島に生息するメガネザルの仲間、ターシャ。成体でも体長10~15㎝と、手のひらにのるほど小さな身体と大きな目が特徴だ。フィリピンでは昔から神の使いと信じられていて、島内にいくつかある保護園で出合える。
スペインの植民地だった1595年に建てられた歴史ある教会。珊瑚から作られた石を使って建てられ、内部の祭壇には細かな装飾が施されている。教会に隣接する建物の2階は博物館になっていて、スペイン統治時代の資料などを展示。
フィリピンの土産といえばマンゴーなどのドライフルーツが定番だが、実は雑貨類も充実している。ボホール島では、一つひとつ手作業でつくられた麻のかばんや籠製品が人気だ。素朴で味があり、かつリーズナブルなのが魅力。
スペイン、アメリカ、中国の影響を大きく受けたフィリピン料理。統一国家がなかったことから、宮廷料理のようなものは存在せず、自由な料理が発展したといわれる。醤油や魚醤、酢などを使った、シンプルな味付けのものが多い。
スペイン、アメリカ、中国の影響を大きく受けたフィリピン料理。統一国家がなかったことから、宮廷料理のようなものは存在せず、自由な料理が発展したといわれる。醤油や魚醤、酢などを使った、シンプルな味付けのものが多い。
スペイン、アメリカ、中国の影響を大きく受けたフィリピン料理。統一国家がなかったことから、宮廷料理のようなものは存在せず、自由な料理が発展したといわれる。醤油や魚醤、酢などを使った、シンプルな味付けのものが多い。