遠く澄み渡る空に、原色の凧が花を咲かせる。ここはグアテマラ共和国の首都、グアテマラシティから西に約10㎞にあるサンティアゴ・サカテペケス。11月2日前後に中南米各国で行われる「死者の日」は、故人に想いを馳せ、その人柄を偲ぶ祭りだが、サンティアゴ・サカテペケスのそれは実に華やかで大胆。最大の特徴は墓地で行われる凧揚げで、凧は生者と死者の魂をつなぎ、祖先たちは凧に乗って家族の元へ帰るとされている。最大で10m以上にもなる円形の凧が地面と垂直に掲げられ、青空の中に鮮やかな色彩のコントラストが現れると祭のボルテージは最高潮に。
街には花があふれ、人々は祖先の墓をカラフルに彩り、歌い、食べ、踊り、賑やかに時を過ごす。比較的おだやかな日本の盆とは対照的だが、その行いにもまた死者への深い思慕が垣間見られる。きっと死者の魂も浮かれ騒ぐ子孫の姿に癒されているのだろう。
紀元前2000年頃から10世紀にかけて栄え、高度な天文学・数学の知識を有しながら突如滅亡したとされるマヤ文明の中心地・グアテマラ。現在でも新たな遺跡が発掘され続けており、ティカル遺跡をはじめ国中に点在する遺跡で研究が進んでいる。
マヤ文明の末裔とされるインディヘナ(先住民)は現在も国民の4割以上を占め、古き伝統や儀式を守り継ぐ。その一方で市街の建築物や宗教体系には15世紀以降のスペインによる植民地時代の影響を残し、古代文明と西洋文化が融合した独自の文化を形成。現地の生活に触れるなら、色彩豊かな伝統織物や名産品であるコーヒー、トウモロコシで作る主食トルティーヤなども探してみよう。
植民地時代の建築物を見物するなら旧首都アンティグアへ。グアテマラは火山が多い地震国家で、地震による大きな被害を受けたアンティグア・グアテマラは1775年に現在のグアテマラ・シティへと首都を遷都した。現在、アンティグアは街全体が世界遺産に登録され、聖人サンティアゴを祀る街の象徴、カテドラルをはじめとする聖堂や修道院といったコロニアル調の建築が訪れる者の目と心を楽しませてくれる。
美しい自然にも目を向けてみよう。アンティグアの十字架の丘では3000m級の火山と市街地の眺望を視界に収めることができる。中央グアテマラのソロラ県では、火山噴火で生み出されたカルデラ湖で、世界一美しい湖と称されるアティトラン湖が広がり、至る所に火山と人が織りなす絶景が広がっている。
ブラジルと並ぶコーヒー豆の産地であるグアテマラ。火山灰性の土壌を利用し、18世紀半ばから栽培が始まったと言われ、味わいとしてはフルーティでやや酸味があるのが特徴。豆の格付けは栽培地の標高によって決められており、高地であるほどランクが上がる。
ブラジルと並ぶコーヒー豆の産地であるグアテマラ。火山灰性の土壌を利用し、18世紀半ばから栽培が始まったと言われ、味わいとしてはフルーティでやや酸味があるのが特徴。豆の格付けは栽培地の標高によって決められており、高地であるほどランクが上がる。
ブラジルと並ぶコーヒー豆の産地であるグアテマラ。火山灰性の土壌を利用し、18世紀半ばから栽培が始まったと言われ、味わいとしてはフルーティでやや酸味があるのが特徴。豆の格付けは栽培地の標高によって決められており、高地であるほどランクが上がる。
先住民の間で伝承されてきた儀式用の踊りに加え、近代のスペイン人の征服の様子を再現する踊りなど、文化も史実も伝えるグアテマラの舞踊。きらびやかな衣装に身を包み、国のシンボルでもあるマリンバのリズムに乗せてステップを踏む。
グアテマラの織物や民芸品は原色を多用した複雑で派手なパターンが特徴。デザインや型は村ごとに違い、色調や模様を見るだけでどの村で織られたのかがわかるという。熟練の手作業で作られた織物は壁掛けやベッドカバー、テーブルクロスなどお土産として人気が高い。
主食のトウモロコシは神話に描かれるほど重要な食物で、薄焼きにしたトルティーヤがよく食べられるほか、インゲン豆を煮て潰した塩味のフリホーレスも国民食となっている。鶏肉や牛肉も人気で、祭りの際にはフライドチキンやグリルが屋台で売られることも多い。