フランスの北東部に位置するアルザス地方。ワインの生産が盛んなこの地では、ヴォージュ山脈のすそ野に沿って連なるワインの名産地が「アルザス・ワイン街道」と名付けられ、定番の観光コースとなっている。
そんなワイン街道の中で、ヨーロッパ全土から人々が訪れる人気の村がリクヴィルだ。20分もあればメインストリートを端から端まで歩けるこの小さな集落が、なにゆえ人を惹きつけるのか。その答えは、村の北側にある高台からの景色を目の当たりにすれば自ずと見えてくる。
リースリング、ピノグリ、ゲヴュルツトラミネールといったワインの原料となるぶどうを育む畑に囲まれ、その中で小さな集落がひっそり佇む光景は、まるで箱庭のような愛らしさ。秋の紅葉シーズンに見られるその輝きは格別で、鼻孔をくすぐる芳醇なワインの香りと、見渡す限り広がる黄金色の平原は、日常の雑踏や喧騒に疲れた心をきっと癒やすことだろう。
「フランスの最も美しい村」の一つに選ばれ、毎年200万人もの観光客が訪れるリクヴィル。この村では、カラフルな木組みの建物がメルヘンチックな光景を作り出し、どこを見ても絵本の世界に迷い込んだかのような体験ができる。1291年に要塞化された村の佇まいは、周囲を城壁で囲まれ戦争の被害を受けなかったことから、16世紀からほぼその姿を変えていない。近代化と対極にある佇まいが人々の郷愁を誘うのだろう。
そのリクヴィルを擁するアルザス地方は、山や川に囲まれた美しい景観を持ち、様々な面でライン川を挟んで国境を接するドイツからの影響を受けている。ドイツと領有権を奪い合ってきた歴史的背景から、両国の文化や言語が融合し、現地の方言もドイツ南西部のアレマン語寄り。フランス語が中心の現在も、人口の4割がアルザス方言を話している。
主要産業であるワイン造りでも、気候的にドイツ系品種のぶどうが多く、ドイツワインとの共通点がいたるところに見られる。料理もまたドイツ色が濃厚で、名物である煮込み料理が日本人の舌にも馴染みやすい。その料理に使用されるクグロフの型や鍋はアルザスの伝統的な工芸品として人気が高く、カラフルな模様にはハンドメイドならではの温かさがある。
2つの国が築き上げたアルザスの歴史。その独自性はヨーロッパでもこの地域でしか見られない文化や生活様式に昇華されている。
日照量が多く、乾燥した気候の中で作られるアルザスのぶどうは、リースリングやゲヴュルツトラミネールをはじめ、7種の代表品種がある。製造されるワインは9割が辛口の白ワインで、すっきりした味わい。繊細さや気高さを漂わせる香りが特徴。
日照量が多く、乾燥した気候の中で作られるアルザスのぶどうは、リースリングやゲヴュルツトラミネールをはじめ、7種の代表品種がある。製造されるワインは9割が辛口の白ワインで、すっきりした味わい。繊細さや気高さを漂わせる香りが特徴。
日照量が多く、乾燥した気候の中で作られるアルザスのぶどうは、リースリングやゲヴュルツトラミネールをはじめ、7種の代表品種がある。製造されるワインは9割が辛口の白ワインで、すっきりした味わい。繊細さや気高さを漂わせる香りが特徴。
ドイツの影響を受けていることから、一般的に知られているフランス料理とは趣が異なるアルザスの料理。その特徴として塩漬け豚バラ肉、ストラスブールソーセージなどの豚の加工品などを添えることが多い。
アルザスの郷土料理に欠かせない調理器具が陶器の鍋やクグロフの型。国境近くのスフレンハイム村で栄えた伝統技術が連綿と受け継がれ、花や動物など自然物をモチーフにした絵柄には、愛・忠誠・長寿などの意味が込められている。
多様なコースを擁し、サイクリストからの人気も高いアルザス地方のサイクリング。長距離にわたって整備されたコースでは、世界遺産であるストラスブールの旧市街やライン渓谷など、至るところで美しい景色を目にすることができる。