セシル エリュアール 神楽坂の
「日本でたぶんうちだけ」と話すのは、フランス伝統菓子の名手・鈴木祥仁さん。限界まで煮詰めたカラメルと、レーズンやナッツのラム酒漬けを生地に合わせて、低温で焼き上げ、仕上げにたっぷりのラム酒を打ち込んで熟成させ・・・と手間暇かけた贅沢なお菓子、「熟成黒ケイク」はフランス北東部の郷土菓子。
「極める面白さがある」と20年間作り続ける特別な存在だ。
そして、少しずつ切り分けて味わいの変化を楽しむのがこのお菓子の醍醐味。最初はラム酒の香りや、フルーツとカラメルの甘みが主張するが、4カ月目からカラメルの苦み、次にラム酒とフルーツの甘みが通り抜け、半年で順番が逆転する。1年後は水分がなくなり、黒パンのようになったケーキを赤ワインに浸して生地本来の旨みを味わう。
枯れゆく熟成感をじっくりと楽しむ大人のスイーツ。ひと切れが豊かな時間を与えてくれるはずだ。
京菓子司 亀屋良長の
「亀屋良長」といえば家伝銘菓「烏羽玉」が手みやげの定番。波照間島産の黒糖を使ったこしあんに、寒天を上掛けした和菓子だ。この妹分のような淡い栗色のコロンとまん丸なお菓子が「まろん」。国産の栗を蒸して裏ごしし、砂糖、生クリーム、ラム酒を合わせて丸め、ラム酒の入った寒天でコーティング。ほっくりとした味わいは洋菓子のモンブランのようでもある。
この「まろん」を考案したのはパリの二つ星レストラン「ル・ルレ・ルイ・トレーズ」でシェフパティシエールを務めていた藤田玲美さん。パリでふとおとずれた和菓子講習会で、日本のお菓子のすばらしさに開眼し「日本人なのに和菓子のことを知らない」と帰国、「亀屋良長」の門をたたいた。京の和菓子を今に伝える老舗が、洋の素材や技法を取り入れて新作菓子を次々に発表。和菓子のなかに新風を吹き込んだ代表作だ。
出入橋きんつば屋の
和菓子屋での奉公をあけた初代が餅屋として創業。当時はさまざまな餅菓子を扱っていたところ、とりわけ店頭で焼きたてを売るきんつばが評判を呼び、二代目のころ、今のようなきんつば主体の商いに。通りに面した窓口からは、箱詰めを何箱も買う人もあれば、1個だけ受け取り頬張りながら去る人も。
そんなお客さんの姿を見ていて気づくのが男性客の多さ。「昔は店の前に運河が流れていて、近くに荷下ろし場があったようです。そこで働く力仕事の男衆も、よく買いに来ていたと聞いています」と、当主の白石誠治さん。
長年、町の人にとって憩いであり続けるきんつばは、小豆の風味を生かしたおだやかな甘さ。餡を包む薄生地は、気軽に手でつまむのにもちょうどいい。
グリーンズの
コーヒータウン・神戸を牽引する、地元の支持が厚いコーヒー豆専門店。生豆から焙煎、ブレンドに至るまで、きめ細やかに心を配った自家焙煎豆がそろう。鮮度の良い豆を仕入れるべく、ブラジル、グァテマラ、マンデリン、コロンビアなどに継続して仕入れできる契約農園を持ち、各農園のめずらしい豆もスポットで登場する。
毎年、豆の評価を産地にフィードバックすることで産地とのつながりを深め、クオリティに磨きをかけている。現在、豆の種類は20種類以上に広がり、カフェインレスの豆も充実。グリーンズブレンドの味をカフェインレスで表現した「デカフェグリーンズブレンド」は、コクのある飲み応えが好評だ。マタニティのママなど、「飲みたいけど飲めない」コーヒー好きの贈り物にもぴったり。