おでかけ
「草間彌生版画の世界―反復と増殖―」より、会期は9月7日まで
芸術家・草間彌生の大規模版画展「草間彌生版画の世界―反復と増殖―」が4月25日、「京都市京セラ美術館」(京都市左京区)でスタートした。京都での個展開催は20年ぶりとなり、巡回展では初めて前期・後期で作品を総入れ替えし、初期から近年までの代表作約330点が楽しめる。
■ 注目は「富士山」、その大きさに圧倒
世界最大級の草間コレクションを誇る「松本美術館」(長野県松本市)が所蔵しているものを中心に、本人所蔵の作品など、会期を通して約330点が展示される同展。会場は6つに章立てられ、子どものころに親しんだ花や食べ物など、日常のモチーフを描いた明るくかわいらしい初期作品から、近年の代表作、モノクロームの大型シルクスクリーン作品「愛はとこしえ」シリーズまで網羅している。
富士山の木版画連作。原画を原寸大で再現した作品も展示されている(C)YAYOI KUSAMA
注目は、「富士山」を題材にした木版画の連作。基本的に原画と版画の大きさはほぼ変わらないのだが、本作品は原画がかなり大きいのが特徴。江戸時代の浮世絵制作技術を継承する職人たちとともに作りあげられ、草間が絵師として加わり、実際に富士山のそばまで足を運び、そこで感じたインスピレーションをもとに原画を仕上げたという。
南瓜を模した展示空間の中も、もちろん南瓜!(C)YAYOI KUSAMA
また草間と言えば「南瓜」。展示中盤には、シルクスクリーンやエッチング、木版画、ラメなどさまざまな技法で描かれた南瓜が並ぶ「愛すべき南瓜たち」のゾーンも。室内中央には南瓜を模した空間も設置されるなど、まさに南瓜一色となっている。
水玉や網目の増殖が草間の創作活動の根幹でもあるが、版画もまた同じものを刷るような複製芸術。同じ図柄でも異なる色合いで刷られているとまた違った雰囲気が漂う、版画そのものの魅力を感じることもできる。
出口付近に設置されたフォトブース。見た目はプリクラの機械のよう
そして、撮影NGの同展で唯一撮影可能なのが、出口近くのフォトブース。外観はプリクラの機械のようだが、自分のスマホを使って「草間彌生作品風」な写真を撮ることができる。どんな写真が撮れるのかは、会場でのお楽しみ。
展覧会オリジナルグッズには、表紙が4パターンの「展覧会図録」(3000円)や「ノート」(1980円)など、一目で草間彌生だとわかるアイコニックなデザインが揃う。
会場は「京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ」。会期は4月25日〜9月7日。月曜は休館(一部除外日あり)。営業時間は朝10時〜夜6時まで(最終入場は17時30分)。チケットは一般2200円ほか。
取材・文・写真/佐々木早貴
【公式URL】
https://kyotocity-kyocera.museum/exhibition/20250425-20250907
写真手前の作品は「自画像」(C)YAYOI KUSAMA
展示最後の章に登場するのが、近年の代表作「愛のとこしえ」シリーズ。初期とは雰囲気が異なる(C)YAYOI KUSAMA
展示会の図録表紙にも使われている作品。その名も「南瓜」((C)YAYOI KUSAMA
表紙が4色展開の「展覧会図録」(3000円)
展示会グッズ売り場の様子