タイトル
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朝夕めっきり涼しくなり、虫の音が深まりゆく秋を感じさせてくれますね。また、秋は空気が乾燥し、水蒸気が少なくなるので空が澄み渡り、夜空の星もいつもより瞬いて見えます。秋の夜長、星座早見表を持って天体観測などはいかがでしょうか。

さて、タイトルを見てぎょっとされた方もいらっしゃると思いますが、今回のテーマは「害虫」です。害虫には不快感を与える「不快害虫」や、ヒトを刺すなど衛生環境を悪化させる「衛生害虫」などたくさんの種類があり、できることならばお目にかかりたくないですね。しかし、わたしたちが虫と全く関わりを持たずに生活することはできませんので、予防方法や駆除方法など正しい知識をもつことが大切です。「住まいのお手入れ・お取扱い」でも害虫についてご説明しておりますが、もう少し詳しくお話したいと思います。

コクゾウムシ

今回のアドバイス

アドバイス01

アレルギー原因となる「チャタテムシ」

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「チャタテムシ」という虫の名前を聞いたことはありますか?不快害虫の一種で、薄い褐色系統の色をした、体長2㎜以下の小さな虫です。高温多湿な環境を好み、特にカビ類や酵母を好みますが、古い紙や壁紙の糊、植物片なども食べる雑食性のため、食品を貯蔵している場所だけではなく、本棚や畳、観葉植物にも発生することがあります。梅雨から秋にかけて多いと言われていますが、特に何月頃に発生するという事はなく、チャタテムシにとって好適な環境条件(温度25~29℃、湿度75%以上)であれば発生します。

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屋内で見かけるチャタテムシの多くは無翅のため、飛びませんが、屋外で見かけるチャタテムシ(例:ヒメチャタテ)は有翅のため、室内に侵入して大量発生することも。

チャタテムシは毒をもっているわけではないので、ヒトを刺したり、血を吸ったり直接危害を加えることはありませんが、カビをエサとしているので、チャタテムシの死骸や糞を吸い込むとアレルギーを起こすことが分かってきたそうです。

ヒラタチャタテ

また、屋内で最も多くみられるコナチャタテ科の「ヒラタチャタテ(左写真)」という種類は、雌のみの単為生殖で繁殖を繰り返すことができ、1日に1~2個ずつ、一生に100個以上の卵を産みます。基本的に繁殖力は強く、高温多湿でカビが発生しているなど、条件がよければ160日以上も生存することができます。屋内のいたるところに生息することができますので、気付いた時には爆発的に増殖し、完全に駆除することが難しい場合があります。

写真(左)提供:(一社)大阪府ペストコントロール協会
※画像の無断使用・転載等は禁止です

アドバイス02

害虫を防ぐには

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では、このチャタテムシの発生を防ぐためにはどうすればいいのでしょうか。答えは、チャタテムシにとって好適な環境条件(温度25~29℃、湿度75%以上)にしないことが一番です。低温や乾燥に弱く、温度25℃で湿度55%以下では成長できないと言われていますので、換気を行い、湿気を溜めないようにしましょう。

また、エサとなる食べこぼしやほこりはできるだけこまめに掃除をして、開封した食品類は密封できる容器に入れておくことも対策のひとつです。

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それでも、段ボール箱や引っ越しなどの家具にチャタテムシが付いてきたり、屋外から飛来して繁殖する可能性もあります。高温多湿な状態でなければ大発生することはないかも知れませんが、早めに防除することが大切です。発生源が食品と特定している場合は、必ず食品を除去しましょう。古本などは防虫剤と一緒に数か月密封しておきます。もし、発生源が特定できない場合は、市販の燻煙剤と残留性のある殺虫剤を併用すると効果的です。

掃除機

もちろんエサとなるカビも除去しましょう。キッチンまわり、畳、布団、皮製品、木部表面など発生した場所によってカビの除去方法が異なりますので、カビ取り剤や防カビ剤を購入する際には必ず使用上の注意を確認しましょう。

掃除道具である掃除機のフィルターやダストカップ内でもカビは繁殖します。機種によっては掃除機をかけた際、カビの胞子も一緒に排気してしまいますので、掃除機内のゴミは溜めずにこまめに捨てましょう。

今回ご紹介したチャタテムシ以外にも、チャタテムシと同じようにカビをエサとするダニ類や、衣類などの繊維製品を加害する「カツオブシムシ」、小豆の中で発育する「アズキゾウムシ」、穀粉や乾燥食品などから発生し、近年被害が増えている「タバコシバンムシ」など、屋内で発生する害虫は他にもたくさんいます。

ほとんどの害虫は高温多湿な場所や、開封した食品などを好みますので、24時間換気は常に運転し、結露やそれによるカビが発生しないよう、また、物入や下足箱など空気のこもり易い空間は扉を開けての換気も効果的です。

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自分で駆除するのが難しいほど大発生した場合は、専門の駆除業者などに相談しましょう。専門の駆除業者などが見つからない場合は、市役所などで紹介している場合もありますので、管轄の市役所にお問い合わせください。また、今回お話した屋内で発生する虫ではなく、共用部分などの屋外で発生する虫(例:蜂、ヤスデ、蟻など)については、まず、お住まいの管理会社や管理員へご相談しましょう。

いかがでしたか?読み終わってすぐに換気のために窓を開けたという方もいらっしゃるのでは。秋は空気が乾燥していますが、これから寒くなり部屋を暖めすぎるとカビの原因となる結露が発生しやすくなるのでご注意くださいね。