手作り洋菓子工房ヴァイツェン・ナガノの
クマの飾りがひしめくショーウインドー。一瞬ここが新橋だと忘れてしまうファンシーな光景に、思わず頬がゆるむ。「日比谷公園にあった幼稚園に通っていたのよ」。生まれも育ちもここ、永野富士子さんが営む洋菓子店「ヴァイツェン・ナガノ」。お菓子作りが趣味で、もっとスポンジ生地をうまく焼きたい、と26年前に「島津睦子ケーキングスクール」へ。「当時、ひとり1台の個人レッスンはめずらしかった。世界のお菓子を学んだけれど、先生専門のドイツ・ウィーン菓子に私も惹かれて」。試作したお菓子をご近所に配るうち注文が増え、1998年、自宅の1階にお店をオープンした。
店の定番菓子、シェル・マドレーヌの解説には「お菓子は材料の良さで決まります」。奥久慈卵とカルピスバターを使い、ジャムやピールも旬の果物から自家製。ナッツは自らロースト、砕いてパウダーまで作る。店名の「ヴァイツェン」とは小麦のこと。肝心なのは、素材だ。 ミキサーは使わず、すべて永野さんがホイッパーで撹拌。保存料は一切使用しない。「いよいよ手首がタイヘン(笑)。ミキサーを試してみたらホイップが全然違うのよ。手伝いも頼んだけど・・・手が違うと味って変わるのね。材料の質と手が肝心なんだなって」。
アプリコットジャムのフラーゼンクラッフェル、ヘーゼルナッツ生地がほろりとくずれるハーゼルウヌスキュフェルン・・・。めずらしいドイツ・ウィーン菓子がずらりと並ぶ。季節の素材を使うから商品は流動的。鬼柚子ピール入りのじゅわっと濃厚なゆずバターケーキ、ラズベリージャムとスパイスが響き合うリンツァーアウゲ。
店内には小さな飲食スペースがあり、季節のタルトなどの生菓子がいただける。南ドイツ名物、黒い森のケーキやクリスマス限定のシュトーレンは予約販売のみ。
「かける手間は惜しまない。だって私は手作りそのものが好きだから」。看板のクマの絵やお菓子の解説まで手描きする。ここは、マイスター永野氏の手が生み出す小さなお菓子の王国なのだ。
亀末廣の
創業は文化元年(1804)の老舗。干菓子の菓子型で縁取られた看板が、界隈でもひときわ目を引く。江戸時代には二条城に、また京に都がある時分には御所にと、献上菓子も多く担ってきた名菓子司の代表的菓子が、見目麗しいこの「京のよすが」。別名は「四畳半」という。
四畳半の茶室に見立てた秋田杉の箱には、彩り豊かな干菓子や有平糖、半生菓子など、様々なお菓子が詰め合わされている。桜に水流、青葉に紅葉、白雪・・・と、四季折々の風物を詰め込んだデザインに落とし込んだ様は、まさに風流そのもの。このまま俳句や和歌を詠みたくなるほどの趣がある。
また、リピーターにも楽しんでもらいたいとの思いから、季節ごとに箱の中身も模様替え。意匠を凝らした、まるで宝石のような美しさに、贈られた人は箱を開けた瞬間、目を輝かせるに違いない。1箱3700円から。
はり重の
大正8年、初代社長が「はり重」を開業。新世界ですき焼きを提供する精肉店として開店し、戦後ほどなく道頓堀に移転した。芝居小屋が並び、大いに賑わっていた頃だ。もうすぐ創業100年を迎える。
適度にサシ(霜降り)が入ったもも肉を用い、ローストした後、味がなじんでしっとりと冷める。このとき、中はレア。温かいうちだとジュワリと肉汁が出る。冷めると肉の線維の間にたまる。口に入れるとその肉汁が再び溶け出す。甘みが広がり、噛むと香ばしさが広がる。
店のスタッフいわく「タレも付いていますが要らんほどです」とは、自信満々で仕入れた肉を使っている証し。少し鉄っぽいくらいの和牛の香ばしい風味を感じるのは、やはり赤身の肉でレアに仕上げるため。贈答用と自家用を同時に買うお客が多いのも納得できる。誰かにあげるためだけでは、ほぞを噛む思いをするだけ。自分用にも買って肉を噛みしめろと。美味しい話はみんなで共有する方がいいに決まっている。価格は肉質により、100g1200円、1500円、1800円の3種がある。
カナール ティー アトリエの
京都・西陣で着物のデザイナーとして活躍する店主が開いた和のハーブティー専門店。有機・無農薬栽培のハスの葉や柿の葉など、安心安全な素材を国内外から厳選。日本の伝統茶の専門家、ハーブブレンダーとともに開発した味や効能の異なる10種類を用意する。
素朴な味わいのヨモギに、バラとコーンフラワーの花を贅沢に散りばめ香り豊かな一杯に仕上げるなど、五感で楽しめる茶葉。洗練されたパッケージも魅力で、ギフトにすれば喜ばれる。