当社では新築マンションをご購入後、建物完成日より3~6か月、1年目、2年目を目途に定期補修を行っており、該当のマンションにはご案内状をお送りしています。
Vol.50では、この定期補修を受けるにあたり、どのようなことを指摘したらいいのか等、ご注意いただきたいポイントをお話ししたいと思います。
今回のアドバイス
アドバイス01
まず、Vol.25『共用部分と専有部分』でもお伝えしましたが、マンションはひとつの建物が空間的にいくつかに区分されているため、定期補修でご指摘いただく区分も〈専有部分・専用使用部分〉と〈共用部分〉に分かれます。
〈専有部分〉はみなさまがお住まいの住戸のことで、〈共用部分〉はエントランスホールや共用廊下など一般的な分譲マンションで考えると、専有部分以外の部分です。また、〈専用使用部分〉は共用部分に該当しますが、日常の清掃などの維持管理はお住まいの方が行います(例:バルコニー・テラス等)。
今回は、〈専有部分〉と〈専用使用部分〉のご指摘についてご説明します。
アドバイス02
基本的には、住戸内に設置されている設備機器、フローリングや建具等が〈専有部分〉のご指摘範囲となります。「何から確認したらいいのか」、「設備機器がありすぎて分からない」というお問い合わせをよくいただきますが、まずは普段使用されている設備機器等を点検とともにご確認ください。
例えば、毎日使っている食器洗い乾燥機の運転中に異音がないか、24時間換気は問題なく運転しているか、室内を歩くと異常に沈みこんでしまう所はないか等、もしかすると使い方やお手入れ方法が原因かも知れませんが、「いつもと違うかも…」と感じる部分がないかご確認ください。
次に、時々しか使用しない設備機器やお部屋をご確認ください。
例えば、浴室暖房乾燥機やコンロなど普段使用しているが、一度も使用したことがない機能がある場合は、問題なく運転するかお試しください。また、時々しか使用しないお部屋のサッシや建具は開閉する機会が少ないため、不具合に気付かないことがあります。
特に設備機器は、長期間使用しないことにより故障することがありますので、入居されていない場合でも定期的に点検しましょう。
アドバイス03
〈専用使用部分〉は最初にお伝えしたとおり、基本的には、〈共用部分〉に該当しますが、維持管理をしているお住まいの方がご指摘することとなります。ご指摘内容によっては管理会社や管理組合への報告などが必要となる場合があります。
また、玄関扉(錠および内部仕上げ部分除く)や外気に面するサッシ(窓本体・枠)、窓ガラスなど、一見〈専有部分〉と思いがちな箇所も〈共用部分〉に該当するため、詳しい区分については管理規約集等をご確認ください。
どこまで確認するのかが難しい〈専用使用部分〉ですが、例えばバルコニーやテラスの壁や天井にクラック(ひび割れや亀裂)がないか、排水管が漏水していないか等を確認します。スロップシンクが設置されている場合は、問題なく水が出ているか等を確認してください。他にもポーチの門扉やトランクルームが設置されている場合は、開閉に異常がないか点検しましょう。外部に面しているルーバー面格子は不具合だけではなく、埃などが溜まってルーバーが可動しないということもありますのでご注意ください。
アドバイス04
定期補修時には、「気になる箇所は見つかったが定期補修に指摘していいのか分からない」、「物を落としてしまったが、有償修理の依頼はできますか?」、「設備機器の機能なのか不具合なのか分からない」というお問い合わせをいただきます。
実際に状況を確認しないと判断できない場合もありますので、気になることやご質問等も定期補修と合わせてご相談しましょう。
このように定期補修は補修項目の指摘だけではなく、お手入れの時期や設備機器の取扱い等の確認をしていただくことで、永く快適にお住まいいただけます。
今回は〈専有部分〉と〈専用使用部分〉のお話でしたが、共用部分で気になることがあれば、定期補修時に限らず管理員や管理会社へご相談ください。
また、Vol.26『共用部分と専有部分(その2)』、Vol.27『共用部分と専有部分(その3)』も併せてお読みいただきたいと思います。